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~大人のための官能童話集~
第1章 序幕‥赤ずきんちゃん
狼の象徴である尖った耳と尻尾を持ち。
狼と人間との間に産まれた子。
否、穢れた血が流れる禁忌の化け物だと。
「娘に一体何をしようとしていたの?」
「! 俺は……」
「近づかないでちょうだい!!」
一歩踏み出そうとした少年だったが、真っ向から拒否される。
そして、最後のとどめとばかりに。
「この化け物…っ、二度と娘には関わらないで!!」
(化け物……)
少年の脳裏で娘の母親の言葉がこだまする。
何度となく耳にしたその呼び名。
産まれた時から自分の運命は決まっていたのだ。
忌み嫌われ、恐れられる、呪われた存在。
やはり、この幼い少女を助けたのは間違いだったのかもしれない。
(去ろう……)
これ以上ここにいても、自分の存在は邪魔にしかならないのだ。
そう悟った少年は踵を返し、再び森の奥深くに身を潜めようと歩き出す。
「待って!!」
しかし、可憐な少女の声が少年の足を止めた。