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若社長と秘書子の攻防
第1章 ファーストラウンド



「……ほう? だったら僕の要求はどうするつもりだ?」


「もちろん謹んでお断り」


「出来ない、やれないは相応の理由が無ければ受け付けない、と常々言ってるはずだが?」


 社長は私の言葉を遮り、横目ビーム。


『相応の理由』? いくらでもありますとも!


 まずプロポーズもどきを要求と言うのはいかがなものなのでしょう? しかも会議の場でだ。


 そんなことをすれば、会社全体に知れ渡るのは必須。


 第一、付き合ってもない男女が結婚の約束を交わすのは有り得ない。


 互いの好意の確認すらしてないのに。


 ……多分、私が一番引っ掛かっているのはそこ。


 社長は私をどう思ってるのでしょうか?


 私は社長をどう……?


 その時ズクリ……と古傷が疼いた気がして思考を強制遮断。


 何も答えられないでいる私を乗せた車は、いつの間にやら陸奥屋に到着していたようで、地下駐車場でのバック音に我に返る。


 社長も仕事モードに転換されたみたいで、それ以上突っ込んではこなかった。









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