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若社長と秘書子の攻防
第1章 ファーストラウンド
子供たちが楽しそうに乗っているミニSL。
それを眺める社長の背中に声をかける。
「……社長。子供用です。乗れませんよ?」
社長は僅かに振り返り、『誰が乗りたいと言った?』と眼だけで訴えてくる。ビームを添えて。
……全く、この人は。表情や口に出さずとも、背中がウズウズしてるの丸分かりです。
こんなどうでもいいことは分かるのに、この人の気持ちは一向に読み取れない。
……別に読みたいとも思わないけれども。
一通り、社長曰く『見て回る』のが終われば、最後にベンチに促される。
私としては用件が終わったなら、早く帰宅したいのですが。
「あの、社長……」
「こんなにも一人で食いきれん。いいから座れ」
ぶら下げた袋一杯の食べ物を掲げ、不遜に言うのはいいんですが。だったら初めから一人で食べれる分だけ買ってくださいよ。
渋々社長の横に腰掛け、社長が買い込んだ食べ物を広げる。
たこ焼きに焼きとうもろこし、焼きそばにイカ焼き。それにリンゴ飴。
……リンゴ飴?
赤い着色料満載のリンゴ飴に、私は不思議に思った。
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