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若社長と秘書子の攻防
第1章 ファーストラウンド




 一度溢れだした感情は止めどなく溢れてくるが、涙だけは見せまいと拳を握って我慢していれば。


 屋上に音楽が流れる中、膝の上で固く握った拳に社長の手が重なる。


 と、その時。


 ドーンと花火が打ち上がる。


「今さら、じゃない。今だからだ」


「どういう……んんっ!?」


 意味かと問おうとした私の唇に、社長の唇が重なった。


 な……何が起こっているのでしょうか?


 疑問符を浮かべる私に、唇を離した社長は不敵に微笑む。


「昔と逆だな?」


「っ!?」


 社長の瞳に花火と私の驚いた顔が映る。


「なっ、なっ、なっ……」


 なんてことをしやがるんですか、このハレンチ社長はっ!!!!


 そりゃあ私もキスしましたけど! 頬と唇じゃ次元が違うじゃあありませんかっ!!


「相川は今さらと言うが、20歳の男が中学生に手を出したら犯罪だろう?」


「で、でも! だったら再会してから無視してたのはなんでです!?」


「無視? 先にしたのはキミだろ?」


「そ、れは……」


 あら? そう……だったかしら?


 記憶を辿ってみれば……ああっ!


「気まずくて、眼を逸らした……かもしれません」


 私も忘れていた事実に、ハハッと渇いた笑いを零した。







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