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若社長と秘書子の攻防
第2章 セカンドラウンド


 お母様に「ごゆっくり」と見送られて連れて来られたのは、私の実家が丸っと入ってしまいそうな、本宅と外廊下で繋がった離れ。


 外廊下から眺める中庭の素晴らしさと言ったら……なんて呑気に見れる心境じゃありません。


 なぜならば、離れの一室に入った途端、眼に飛び込んできた二組の並べられた布団……どこまで用意周到なのでしょう。


 溜め息しか出ません。もちろん、色っぽいものでなく、げんなりした気持ちから。







 ──『僕の家』。この言葉を聴いたとき、浮かんだのは社長が住んでらっしゃるマンションでした。


 加賀美社長の秘書を勤めてから早3年。ご自宅の中まで入ることはなかったものの、朝お迎えにあがってそのまま社長に同行し、取引先に伺うのもしばしばありました。


 お忙しい方ですし、急ぎの資料を玄関先までお届けしたことも。


 だから『家』と言われ、真っ先に浮かぶのはあのマンション。


 それがまさか、ご実家とは。


 未だ体調が優れない前社長であるお父様は既にお休みとのことでお顔はお出しになりませんでしたが、お母様には


「恋人の相川佐和さんです」


 と紹介され、涙ながらに歓迎されては微笑むしかないじゃないですか!








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