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若社長と秘書子の攻防
第2章 セカンドラウンド



  社長はとてもおモテになる。女性は選び放題だ。


  私のような地味で、お世辞にも美人と言えない女を、なにも選ぶ必要は全くない。


  でも私なら、社長の仕事を傍で見てきて、多少なりともお手伝いは出来ています。お忙しいのも理解してます。


  家庭に入っても、帰りが遅いだとか口煩くは言わないだろうことを、社長はよく知ってらっしゃるのでしょう。


  イヤミーズな先輩方に指摘されることがあるほど、同じバッグやスーツを身に付ける私は、浪費癖もない。


  何より、私の好意はどんな鉄扉面で覆っても、社長には筒抜けだったに違いありません。


  とどのつまり、社長にとって都合のいい女。


  手間も隙もかける価値がない──女。





  ほんの1時間前に、あの大輪の花の下で愛を打ち明けられたのが、幻だったよう。


  馬鹿ですね、私は……。


  甘い言葉と熱いキス一つで、ころっと騙されてしまいました。


  私を好き? 少し考えれば、そんなことあるはずなどないのに。


  あんな演技に騙されるほど、恋というのは盲目で恐ろしいものなのね。


  ……でも、まあ。


  外堀ガチガチで逃げられなくても、先に知れたのは幸運でしたね。


  これ以上社長を好きになって、傷付かなくて済みますもの……。








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