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若社長と秘書子の攻防
第2章 セカンドラウンド



 社長の眼から殺人光線が即座に発射されても、棘〈イバラ〉の道を進むと決めた私には効果はありませんから。


「本当は一切触れないでください、と申し上げたいところですが、社長には後継ぎが必要でしょうし、そこは妥協します。外に愛人を何人囲っていても文句は言いません。何日も家に帰って来られなくても構いません。さきほどの条件さえ飲んでいただければ、社長がなにをされていようが一切口出しいたしませんから」


 私には手間隙かける必要はなくとも、他にできるかもしれませんし。私には口先だけの愛の言葉も、他の女性には真実の愛の言葉を囁くこともあるでしょうし。


 それでも鉄扉面を崩さず、社長が仕事に専念できるよう良妻を演じ続けていく自信はある。


 だけど……。


「理由は? なんの理由もなしに飲める条件じゃないな」


 理由、ですか。そんなこと決まってるじゃないですか。


 つい1時間前に社長にされたキス。社長のどんな嫌味や殺人光線よりも破壊力のあるキスに、私の鉄扉面は総崩れになってしまう。


 社長が私に秘書の次に与えようとしている“妻”という仕事。


 仕事をする上で感情は不必要で。


 あんなキスをこれからもされたら、感情を殺し、良妻を演じ続けられなくなってしまうからじゃないですか!


 こんな単純な女心も解ってもらえないほど、私に興味がおありじゃないんですね……。





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