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若社長と秘書子の攻防
第2章 セカンドラウンド



「理由は……お話したくありません」


「話せないなら飲むことはできんな」


 フンッと鼻であしらわれ、心も覆うとしていた鉄の仮面の下で、淡い恋が散った傷がズクズクと疼く。


「どうしてですか……?」


「キミらしくないな。できないやれないは相応の理由がないと、と何度も言ってきただろう。それなのに――」


「お話しなくてもいいじゃないですか! 社長の望み通り身を固めて、社長の座も名実ともに確固たるものにできるんです。お父様だってこれで安心なさるでしょう? これ以上私になにを望まれるというんですか!」


 一息に吐き出してから後悔する。


 嗚呼……やってしまった。


 感情的に話すなんて、本当に私らしくない。だから嫌なんだ。この方の前では鋼鉄も豆腐並にふにゃふにゃになってしまう。


 せめて泣くものかと奥歯を噛みしめ、青々しい畳をじっと見つめていれば、とてつもなく不穏な気配にそっと視線をあげると。


「ひっ!!」


 12年の月日。耐えに耐え、慣れてきた殺人光線だったはずなのに、思わず小さな悲鳴をあげてしまうくらい恐ろしい光線……いや、これはもう軽い爆発が起こりそうな視線を投げられていた。






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