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若社長と秘書子の攻防
第2章 セカンドラウンド



 これほど恐ろしい形相の社長は未だかつてあっただろうか?


 否、私の知る限り……ない。


 これは挑む云々の次元ではどうにかできるレベルでは到底なく、生物の本能とでも言いましょうか、勝手に身体が後ずさる。


 同じ歩幅、いやそれ以上に社長は詰め寄ってきて、すぐに壁際に追い詰められた。


 途端、ドーーーーンと顔の真横に衝撃が走った。


 これは……俗に言う壁ドンというやつでしょうか? 世の女性が胸キュンするという噂のあれですか!?


 家が揺れるほどの壁ドン……まったくもって胸キュンしないどころか、心臓破壊されるかと思う恐怖にただただ青くなる。


「キミは……腹立たしいくらい馬鹿だな」


 ど直球に罵られても、反撃の言葉すら声にできない。だって、上質な漆喰が若干パラパラと畳に落ちてるんですよ? 反撃しようものなら次は私が無残に散った漆喰になるに違いありません。


「身を固めるため? 社長の座を確固たるものに? 父を安心させるだ?」


 重低音……腹に響きすぎるのですが!!


「そんなことのためにキミにプロポーズしたと思っているのか?」


 ギラリと社長の眼が光った瞬間、光線にズドンと撃ち抜かれる。


「ち、違うんですか……?」


 どうにかこうにかか細い声を振り絞り、問いかけた。






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