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若社長と秘書子の攻防
第1章 ファーストラウンド
「正岡千鶴28歳。家族構成は両親と弟の4人。ペットの猫の名はモモコ。恋人は表向き営業課の及川さんですが、裏で製造部の島根さんとの二股交際」
「ちょっ!!」
先輩の一人の正岡さんは、私が述べたプロフィールに青くなる。
「な、なんでそんなことをっ……!!」
「あんた……二股してたの!?」
別の先輩に責めるような視線を向けられ正岡さんは一層青くなるのも構わず、私は続ける。
「若月さんのも都築さんのも把握しておりますので申しましょうか?」
「なっ!?」
イヤミーズはどなたも脛に傷持ちなので、猫型ロボットに引けを取らない真っ青っぷりだ。
「い、いい加減にしなさい! どういうつもり!? 人のこと調べるなんて卑劣じゃない?」
「卑劣、ですか。確かに趣味の一貫でしたらそうかもしれませんが、これも職務のうちですよ?」
「職務って……」
「社員の管理は各事業部の責任者がしておりますが、あくまでも職務内でのこと。職務外で素行の悪い方がおられても社長の耳まで届きませんから」
そこで私の出番、というわけだ。
「ま……まさか社長の命令で?」
若月さんが異常に痙攣する唇で言う。
そして私は微笑を浮かべた。
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