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若社長と秘書子の攻防
第2章 セカンドラウンド



「案外キミは鈍いんだな」


「……へ?」


「まさか偶然うちの社にエントリーしたと思ってるのか?」


 間抜けな返答をした口のまま、ぽかんとしてしまう。


 偶然もなにも、それ以外なにがあるというのでしょう。社長がいくら優秀でも、私が希望する会社まで操作は神様でもないかぎり不可能なはず。ええ、そのはずです。


「キミの大学はうちの会社のOBが多くいて強いコネがあるんだ。知らないのか?」


「いえ、それは存じて……まさか……」


 はたと思い当たることがあった。


 あれは就職活動中。大学の職安に行き、職員から勧められた企業の中に今の会社があった。ちょうど募集が来ているから受けてみないかって。


 つまり私が社長の……当時は前社長が経営する会社に入社したのは、社長が操作していたってこと?


「私……自分の実力で入社できたものだとばかり……」


「キミの実力だ。職員には相川にエントリーさせろと伝えておいただけだ。人事には一切関与してない。これは本当だ」


「でも……」


「相川なら必ず勝ち残ると信じていた。なんせ僕が担当した生徒の中でも最も厳しく教え、見事に最後まで指導に耐えてきたんだから」


 社長の誇らしげな顔はご自分を称えるものではなく、私に対してのように見えた。







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