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若社長と秘書子の攻防
第3章 ラストラウンド
きっかけというきっかけは特になく、不安が募る原因は私にあるのだと思います。
初めて情を交わしたあの日、はぐらかされた質問は今もなお宙ぶらりんのまま。15歳の私に20歳の社長が惹かれた理由。
誰かに話しても、そんな昔のことにこだわってと鼻で笑われそうなものですが、私にとっては重大で。
良くも悪くも平々凡々な私。身体に凹凸がないのを含めれば、平凡よりも下回っている容姿にくわえ、可愛げの欠片もない。
5歳も年下で、可愛くない私を好きになったのはどうしてなのか。そして12年もの間、忘れずにいてくれたのはなぜか。
今となってはそれほど気にならない年の差だけれど、当時の5歳差は大きい。
社長を信じていないだとか、やはり都合のいい女を惑わす口実だとか。そういう風に思っているのでは決してなく、要するに私は自分に自信がないのだ。
公私に渡り社長と過ごす時間が増えるにしたがい、社長が女性の眼を引く存在だと改めて思い知らされ。
初恋に破れてから勉強と仕事にしか興味を向けてこなかった私が、今さら女として自覚を持ち、自信を喪失させるだなんて数ヶ月前の私には想像だにしなかったことですね。
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