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若社長と秘書子の攻防
第3章 ラストラウンド
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「吉崎様、お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
「ありがとう」
肩までの髪を緩やかに巻き、質のいいスーツを着た細くすらりと伸びた手足を持つ正統派美人の吉崎美和様の来社に、私は社長室へと彼女を案内する。
案内といっても、吉崎様は私が入社した頃にはすでに取引先の窓口として何度も来社されており、勝手知ったる場所でもあり、案内の必要はないのだが。
彼女はわが社にとって重要な取引先相手の営業ということで、こうして秘書課の私が案内役を担っている。
社長室の前まで来て扉をノックし「失礼します」と告げ、部屋に入る。
「吉崎様がおみえになりました」
ご自分の机で仕事をなさっていた社長は私たちの訪問を認めると、立ち上がって接客用のソファーへと吉崎様を促す。
「早速資料を拝見しましょうか」
「もう、相変わらずせっかちね。もうちょっと世間話とかしようとか思わないわけ?」
「必要ない。キミの世間話とやらに付き合っていたら、日が暮れてしまう」
「ひっどー。そんなにべらべらと……喋るけどさあ」
吉崎様は容姿に似合わず、豪快に笑った。
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