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若社長と秘書子の攻防
第3章 ラストラウンド
“着飾っても無駄”? “洋服や化粧品にお金をかけるより、貯金するのが有意義”?
そんなこと、自信のない私への言い訳に過ぎなかった。
私だって女です。綺麗にメイクをして、美しい服を着て、少しでも社長に似合う女性になりたい願望はあります。
勉強や仕事に心血を注ぐふりをして、自分磨きをしてこなかった私を認めるのが嫌だっただけなのだ。
そう気づくと、無性に腹が立ち、泣きたくなる。
嫌がらせをする彼女たちや、吉崎様とのことを秘密にしていた社長よりもなによりも、自分が腹立たしくて仕方ない。
地味だと馬鹿にされても、これが私だと跳ねつけてきた私が馬鹿で。
帰りが遅くても仕事だからと聞かず、真実から眼を逸らしていた私が臆病者で。
そんな私が誰を責められようか。
それよりもやるべきことがあるのではないでしょうか。
私が持つ唯一の戦闘服──いえ、戦闘仮面ならぬ鉄扉面を貼り付け、すくと立ち上がる。
びくりと身構える正岡さんたちには一瞥もくれず、秘書室から戦場へと出兵した。
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