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若社長と秘書子の攻防
第3章 ラストラウンド



「吉崎様。私、社長が好きです」


「え?」


「は?」


 前方と後方、それぞれから気の抜けた反応が返る。


 まぁ、そういう反応になりますよね。でも構わず続ける。


「周りの方たちから社長と釣り合っていないと思われていても、社長が本当は吉崎様を想われていても。私が社長を想う気持ちは誰よりも強いと……それだけは自信があります」


 私は私に自信がない。けれどこの気持ちだけは胸を張って言える。


 いつしかお二人の問題が解消され、私が用無しになったとしても、12年も想っていた方です。易々とこの気持ちを手放せはできませんから。


「お仕事中に大変失礼いたしました。これだけお伝えしたかったもので。では、失礼いたします」


 再度深く頭を下げる。


「え? あの……なにがどうなって……?」


 戸惑う声には答えず、反転して立ち去ろうとする私の前に社長が立ち塞がり、光線を浴びせてきた。






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