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若社長と秘書子の攻防
第3章 ラストラウンド
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「──先生は大学を卒業されたら、どうなさるんですか」
まだ社長への恋心を自覚していない時分。休憩時間に母が運んできたお茶を飲みながら、何気なく問いかけた質問だった。
社長──先生には一年近くお世話になるのだ。多少なりとも世間話をし、会話をはかろうとしていたのかもしれませんが、その辺りの記憶は曖昧で。
とにもかくにも、ご自分からあまり会話をされない先生へ、思いつくまま質問を投げたのでしょう。
「……僕は父の会社に入り、ゆくゆくは継ぐことになるだろう」
先生の振る舞いから育ちの良さは窺えていましたが社長ご子息とは、と感動するよりも、僅かにあった間に引っ掛かりを覚える。
「お父様の跡を継がれるの、迷われているんですね」
「……は? 僕が迷うだと? 今の会話のどこに僕が迷っていると思う要素がある?」
即座に至近距離から光線発射に免疫のない私は狼狽える。
「い、いえ……。なんとなくそう感じただけで。子供の戯言です。お気になさらず」
しどろもどろになりながら取り繕っている私の横で、先生は私をガン見する。
私が浅はかでした、悪うございましたから……光線連射、やめていただけませんか!?
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