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若社長と秘書子の攻防
第1章 ファーストラウンド
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「今日から佐和の家庭教師をしてくださる、加賀美理人〈カガミ マサト〉先生よ」
当時、高校受験を控えていた私に教育熱心だった母が、中三の初めに家庭教師を雇い我が家を訪れたのが、若き日の社長だった。
もう12年も前のことになる。
大学生だった社長は当時から殺人光線を使えましたし、当然ながら綺麗な顔立ちやすらりとした長い手足もそのまま持ち合わせていた。
そして冷血漢な性格も、すでに完成形に近かったんじゃないかしら。
「予習をやってない? やる気はあるのか?」
この台詞、幾度聞いたか……と思い返すだけでも胃に風穴が開いて吐血もの。
予習をやってなかったわけじゃない。寧ろ次に教わる範囲以上にはやってましたとも。
でもですよ? 必ず私がやった以上を要求されるんですから、どうすりゃいいってんですか。
まだ幼気で、汚れを知らない私は心が粉砕……するわけでもなく、畏れ多くも挑んでしまったんですよね、これが。
そりゃあ何度か折れかかりましたし、凍り付きもしました。
でも当時から私も子供にしては冷めた性格で、負けん気だけは強くて。
それから始まったのは、両親には見えない水面下での仁義なき戦い……予習・復習範囲のいたちごっことも言う。
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