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若社長と秘書子の攻防
第3章 ラストラウンド
「入社してから僕とすれ違っても、キミは眼も合わせようともせず、清々しいくらい無視をしてくれたな」
うわぁー……、爽やかなのに禍々しい笑み。心臓にキますね、これは。
逃げ出したい衝動に駆られるのに、逃がさない腕が余計に恐ろしいです。
「もう僕のことなど忘れたのかとも思ったが……逆なのではと考えたら、無性に傍に置きたくなった」
苛めるためですよね? 苛めるためなんですよね!?
社長から無理難題を押し付けられる日々を思い返し、胃が痛くなりそうです。
「傍に置いてみて、キミはあの頃となんら変わっていなくて嬉しかった」
ええ、まあ。私の成長期、中学生辺りから止まっていますから、と少し悲しくもなる。
「胸の話じゃない」
胸をそっと盗み見たのがバレてしまったのか、くくっと社長は笑う。
「不器用で、でも真っ直ぐで嘘がつけず、負けん気が強くて。僕は周りから取っつきにくく、ともすればロボットのような人間だと思われているのは知っている。だがキミだけはなぜか昔も今も僕のことをよく理解し、キミだけが僕を一人の人間として見てくれた」
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