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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第23章 《巻の壱―夢―》
「殿、お願いでござります。どうか、時橋にはそんな話はなさらないで下さいませ」
 それでなくとも、時橋には実家にあるときは〝姫さまらしくない〟、嫁いでからは〝奥方さまらしくない〟と何かにつけ行儀の悪さを叱られてばかりなのだ。もっとも、屋敷の奥深くで琴を弾いたり香をたしなんだりと姫君らしく過ごすよりは、庭で木刀を振り回したり、樹に登ったりする方が好きな泉水のことである。時橋の嘆きはもっともでもあった。
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