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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
 その人通りのない小道を少し歩くと、一見小料理屋に見える小さな店が何軒か隣り合って並んでいる。ここは男女がひそかに逢瀬を重ねる連れ込み宿―出合茶屋である。この付近は、出合茶屋がある他、人家などはなく、昼間でもひっそりと静まり返っている。いかにも淫猥な秘密めいた雰囲気が漂っていた。
 今は花の時期も終わり、広大な境内地は閑散としている。従って、門前の茶店にも泉水とおつやの他に客は見当たらない。泉水は店先の毛氈を敷いた長椅子の一つに腰を下ろす。おつやがその隣にちょこんと腰掛けた。
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