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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
 幼いおつやの耳の奥には、祖母が日毎、夜毎、呪いのように囁いていた言葉がこびりついている。
―お前の母親は我が子を平気で捨てた、鬼畜のような血も涙もない女だよ。
 おつやは、今も信じられない。あの、優しかった母が自分を捨てて出ていったとは思えないのだ。朝早く長屋を出て夜更けに帰ってくる母とは、殆ど顔を合わせることはなかった。それでも、暁方、怖い夢を見て泣き出したおつやを、母は抱きしめて頭を撫でてくれた。
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