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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第30章 《巻の弐―決別―》
―何ということ。
 時橋は我が身の迂闊さに歯がみした。せめて続きになった控えの間に腰元を一人残しておくべきであった。今日は泉水が時橋にでさえ裸身を見せることをひどく厭うため、結局、眼を離すことになったのだが、まさかその間に泉水が姿を消すとは思いもしなかった。
 そう言えば、と、時橋は今更ながらに思い出す。
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