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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第30章 《巻の弐―決別―》
泉水は十二の頃から男装しては屋敷を抜け出し、江戸の町にお忍びで出ていった。その度に時橋はくどいほど説教と訓戒を垂れ、〝二度となさってはなりませんよ?〟と念を押すのだけれど、結局は、ほとぼりが褪めた頃にまたしても、同じことをやらかすのだ。
そうやって、何度も泉水は時橋の眼を盗んでは屋敷を脱出してきた。時橋は時橋で、次こそは抜け出すところを捕えて―と思うのだが、何故か泉水はいつも巧妙に立ち回って、いつしか姿を消してしまう。
そうやって、何度も泉水は時橋の眼を盗んでは屋敷を脱出してきた。時橋は時橋で、次こそは抜け出すところを捕えて―と思うのだが、何故か泉水はいつも巧妙に立ち回って、いつしか姿を消してしまう。