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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
―かかさまも姫のように雪のような膚をして、黒い大きな眼をしていたよ。
幼かった泉水に、父はそう母の面差しを語って聞かせた。だが、泉水自身は、我が身が佳人で評判だったという母にそれほど似ているとは思えない。もう直、十九になるというのに、いつまで経っても小娘のような童顔で、もう少し大人の女人らしくなりたいとひそかに願っているほどなのだ。
母と父は当時としてはお定まりの見合結婚で、婚礼の夜に初めて顔を合わせた―それが出逢いだったようだ。
幼かった泉水に、父はそう母の面差しを語って聞かせた。だが、泉水自身は、我が身が佳人で評判だったという母にそれほど似ているとは思えない。もう直、十九になるというのに、いつまで経っても小娘のような童顔で、もう少し大人の女人らしくなりたいとひそかに願っているほどなのだ。
母と父は当時としてはお定まりの見合結婚で、婚礼の夜に初めて顔を合わせた―それが出逢いだったようだ。