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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
くろのことは案じられはしたものの、その日の黄昏刻、泉水は久しぶりに愉しいひとときを過ごした。まるで子どもの頃に戻ったかのように、我を忘れて、焼いたばかりのギンナンの実の熱さに顔をしかめながらも夢中で頬ばった。その次には、眼を白黒させてギンナンを食べている互いの顔がおかしいと、指さし合って笑い転げる。
篤次と二人で眺めた裏山の鮮やかに色づいた紅葉と共に、この心和むひとときは泉水にとって、この村での忘れられない想い出となった―。
篤次と二人で眺めた裏山の鮮やかに色づいた紅葉と共に、この心和むひとときは泉水にとって、この村での忘れられない想い出となった―。