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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 寄る辺のない娘が一人、どこへ行くというのか。
 篤次は、追いつめられ、またしても、ゆき場を失った泉水が哀れでならなかった。
 そういえば、泉水がよくこの樹の下に座って坂道の向こうを眺めていたことを今更ながらに思い出す。そのときの彼女は、いつも淋しげな眼をしていた。
 あの娘は道の先に何を見つめていたのだろうか。
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