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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
光照自身、到底五十を超えるとは思えないほど、若々しさを保っており、ただ人とは思えぬ気品を漂わせている。いずれ名のある家の出身であることは察せられたものの、一度俗世を捨てた光照に、その捨てた家やしがらみについて問うのは、はばかられる。それに何より、ここでは伊左久を初め、泉水、光照、誰もが過去を持ち、その過去を捨てた者ばかりであった。
ここでは、互いの過去には触れない。それが一つの暗黙の掟のようなものになっていた。
ここでは、互いの過去には触れない。それが一つの暗黙の掟のようなものになっていた。