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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
 泉水がそれにろくに取り合おうとしないので、時橋は光照や伊左久に訴える。すると、普段は聡明な尼君や冷静な伊左久までもが大変だと、あたかも天下の一大事が起きたかのように大騒ぎする。
 泉水は、そのことにいかほどありがたいと思っているか知れない。時橋はともかく、光照や伊左久は黎次郎とは何の関わりなき人たちだ。なのに、黎次郎を実の孫のように可愛がり、眼に入れても痛くないほどに大切にする。
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