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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第38章 《巻の壱―別離―》
 数日後、暦は如月に変わった。
 その日、待ち人が久方ぶりに月照庵を訪れた。夢五郎が訪れた時、泉水は黎次郎を腕に抱いて廊下に座っていた。まだ如月に入ったばかりというのが嘘のように温かな昼下がりであった。日毎に春めいてくる陽差しが廊下に溢れている。光の輪の中に座り、黎次郎を膝に乗せてあやす泉水は淡く微笑を湛えていた。
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