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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第39章 《巻の弐―黒い影―》
むろん、泉水から一部始終を聞いた時橋は最初、猛反対したことは言うまでもない。が、幾ら異を唱えても、泉水の意思が固いことを知り、諦めた。泉水を育てた乳母だけに、一度決めたら絶対に意思を変えない泉水の性格を誰よりも知り抜いている―。
山門からは長い石段が続いている。泉水と時橋はそこで立ち止まった。黎次郎を抱いた脇坂がゆっくりと石段を降りてゆく。
―黎次郎ッ。
思わず名を呼んで引き止めたい衝動と闘いながら、泉水は溢れる涙をこらえた。
山門からは長い石段が続いている。泉水と時橋はそこで立ち止まった。黎次郎を抱いた脇坂がゆっくりと石段を降りてゆく。
―黎次郎ッ。
思わず名を呼んで引き止めたい衝動と闘いながら、泉水は溢れる涙をこらえた。