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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
「ぎゃうていぎゃてい、はらぎゃてい、はらそうぎゃていぼじそわか、般若心経」
 ふっと経を唱える声が止んだ。最後の一文を唱え終え、光照がゆるりと振り向く。
「それでは、今朝はこれにて。どなたさまもご苦労さまでございました」
 いつも読経の後、光照はこうやって泉水と時橋をねぎらう。その後、二人が頭を下げ〝ありがとうございます〟とお礼を述べる。そのやりとりがあって、初めて朝の勤行が終わるのだ。
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