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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第40章 《巻の参―出家―》
「どうした、おせんちゃん」
 伊左久が気遣わしげに問うのに、泉水は蒼白な顔で首を振り続けた。泉水はあまりの衝撃で、物も言えなくなっていた。伊左久が訝しく思い、その視線の先を辿ると、桜の樹の下に女が転がっていた。女は―時橋だ。
 朽ち葉色の着物に見憶えがある。
 泉水が時橋に駆け寄った。力を失った時橋の身体を抱え起こし、気狂いのように揺さぶった。
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