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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第41章 《巻の四―岐路(みち)―》
それにしても、光照がこのような夜にわざわざ呼び出すとは珍しい。尼寺の夜は早い。夜明け前には起床するゆえ、当然ながら、夜は早くに床に入る習慣になっている。また、それは灯火の節約のためでもあった。
従って、早めの夕餉を終えた後は、皆、自室に下がり思い思いに過ごすことが多いのだ。修行や雑務に追われる厳しい生活の中で唯一、自由に過ごせる貴重な時間帯でもある。
泉水は光照の部屋の前で控え目に声をかけた。