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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第41章 《巻の四―岐路(みち)―》
「されど、蓮照がそのようなことを気に病む必要は全くありませぬ。私が従うのは御仏と我が心のみ。たとえ、どのように偉い、やんごとなき方の御意であろうと、我が意に添わぬご命令には従いません。仮にも神君家康公の頃から続いてきた名門榊原氏のご当主が権力に物言わせてそのようなご無体をなされるとは、信じられませぬ。それもひとたびは御仏の道に入りし尼僧を差し出せとは、何という浅はかな。あまりの好き者ぶりに膚が粟立つ心地がします」