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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第41章 《巻の四―岐路(みち)―》
 やわらかな風が頬を撫でて通りすぎてゆく。
 泉水が月照庵を出てゆく日、寺の庭の桜も寺を取り囲む山桜も満開であった。風が吹く度に一斉に薄紅色の花片が舞い上がり、流されてゆく。
 山門まで光照が見送りに出てくれた。その背後には、少し腰をかがめた伊左久の姿もある。長い石段を降りきった先には、泰雅からの迎えの輿が待っていた。
「達者で暮らすのですよ」
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