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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第44章 《巻の弐―反旗―》
 どこか挑発するような口調に、泉水は顔を上げる。
「私は何も怖がってなどおりませぬ」
 きりっとしたまなざしを向けて言い切ったが、泰雅は薄笑いを浮かべていた。
「さあ、それがどこまで真のことか。見よ、そちは震えておるではないか」
 泉水は唇を噛みしめた。泰雅には、やはり何もかも見抜かれている。十日前に泰雅との闘いはあれで終わったと高を括っていた泉水は、まさか再び夜のお召しがあるとは考えてもいなかった。
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