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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
 泉水は、それには応えず、ただ黙って桔梗の花を見つめていた。黎次郎の言うとおり、あの小さな蜻蛉が道案内となって縁薄い母子を引き合わせてくれたようにも思える。
 蜻蛉もいなくなった庭は、桔梗の花が秋風に揺れているのが随分と淋しげに見えた。
 別に泰雅は泉水が黎次郎と対面するのを止めているわけではない。逢おうと思えば、いつでも対面はできるのだ。だが、泉水には我が子に逢えぬ泉水なりの理由があった。
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