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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
自分は、あのいとけなき子からたった一人の父親を奪おうとしている。今日、成長した黎次郎を見、しみじみと思った。自分が腹を痛めて生んだ子は、紛れもなくあの男の子だ、と。自分にとっては憎い仇でも、黎次郎にとっては頼るべき大好きな父親に相違あるまい。その父親の生命を奪おうとする自分を、あの子が許してくれるだろうか。
泰雅が死ねば、黎次郎は哀しみ、泣くだろう。あの子にそんな哀しい想いをさせたくはない。あの子から父親を奪いたくはない。
泰雅が死ねば、黎次郎は哀しみ、泣くだろう。あの子にそんな哀しい想いをさせたくはない。あの子から父親を奪いたくはない。