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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第49章 《巻の弐―哀しみの果て―》
―兵庫之助さま、お待ち下さりませ。本懐を遂げた暁は、私も必ずお後を追いまする。泉水はけして兵庫之助さまだけをお一人で逝かせはしませぬ。
そう、泰雅を殺した後、泉水は自らも生命を絶つつもりでいる。どうせ榊原家の当主、しかも良人を殺した身で、生きてはいられまい。むざと捕らえられ処刑されて生き恥をさらすよりは、潔く自害して果てる覚悟であった。
泉水は蒼い蝶を魅入られたように見つめながら、暗い想いに浸った。