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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
ふいに、嗣道がふっと視線を逸らす。
おかしい―、と思った。いつもなら、こんなことをする良人ではないのだ。普段は寡黙だけれど、言いたいことがあれば、真正面から相手の眼を見て、きっぱりと告げる。それが、嗣道という男だ。
「お前さま、何か私にお話しになりたいことがおありなのではございませんか?」
弥子もまた回りくどい話は得意な方ではない。嗣道のように判り易い男が良人で良かったと、つくつぐ思う。要するに、自分たちは似た者同士だということだろう。
おかしい―、と思った。いつもなら、こんなことをする良人ではないのだ。普段は寡黙だけれど、言いたいことがあれば、真正面から相手の眼を見て、きっぱりと告げる。それが、嗣道という男だ。
「お前さま、何か私にお話しになりたいことがおありなのではございませんか?」
弥子もまた回りくどい話は得意な方ではない。嗣道のように判り易い男が良人で良かったと、つくつぐ思う。要するに、自分たちは似た者同士だということだろう。