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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
嫁いで六年、夫婦仲は濃やかであったにも拘わらず、源太夫と貴美子の間には子宝が授からなかった、そのために、源太夫に側室をという話が幾度も浮上していたのだ。残念ながら、皆が期待した〝若〟ではなかったが、とにもかくにも、これで槙野家にも姫君が誕生したのだ、これほど悦ばしいことはない。
源太夫も貴美子もまだ二十二歳と若い。これから後、子は幾らでも生まれるだろう。
しかし。
弥子の懸念は不幸にも的中することになる。