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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
「弥子、どうか、姫を―私の姫を頼みます」
「姫さま、お気を確かにお持ちあそばされませ」
 弥子が涙をこらえて言うと、貴美子はゆるりと首を振る。
「私はもう駄目。―判っていたのです。生めば、こうなることは。それでも、折角、芽生えた生命を無駄にはしたくはなかった。生みたかった。我が儘を通してしまったことで、殿にはご心配をおかけし、皆に迷惑をかけてしまいますが、許して欲しい。そなたにも幼き子らと離れ離れにさせて、申し訳―」
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