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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第60章 《其の壱》
 そこで、貴美子の言葉がプツリと途切れた。
 弥子の手の中の貴美子の手が急速に力を失った。
「いけませぬ、これ以上、お話めさるな」
 侍医が横から強い語調で言い、弥子は脇へと避けさせられた。弥子は貴美子の手を放さざるを得なかった。
「殿、殿をお呼び致せ」
 侍医の声が静寂を破って、異様に大きく響き渡った。
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