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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第9章 《巻の四》
―壺を割ったのは是近ではない。俺が割ったのだ。俺が滅多に見られぬ家宝の壺をいじくり回していて、割った。あの壺が割れたのは、俺のせいだ。そういうことにせよ。
そのひと声で、近習の少年は何のお咎めもなく終わった。公方さまには、泰雅が直々に登城し事の次第を述べ、平伏してお詫びを言上し、それで事なきを得た。
当時、十五歳であった飯田是近は今では泰雅の信頼厚い側近として榊原家でも重きをなしている。
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