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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第9章 《巻の四》
 すべてに望みを失ったおそのは入水自殺を計ろうと、たった一人、和泉橋のたもとまでやってきた。そして、いよいよ身を投げようとしていたところを、泰雅に助けられたのだ。
 和泉はすべての話を聞き終え、これまでの泰雅の言動の一つ一つが漸く正しく理解できた。
―女が死ぬほど思い詰めるときっていうのは、どんなときなんだろうな。
 泉水を烈しく抱いた後、泰雅が泉水に問うともなしに囁いた言葉や、その翌日の夜、急に呼び出しを受けて慌ただしく出かけていったこと。
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