この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
降りしきる雪が泉水の髪に、肩に降り積む。
その人もまた、雪の花びらをその身に浴びて佇んでいる。あの面の下には、どんな素顔が隠されているというのだろう。見たい、見てみたい。その想いに突き動かされ、泉水が手を伸ばそうとした拍子に、周囲の風景が暗転した。
穏やかに降っていた雪は荒れ狂う吹雪となり、桜の花が毒々しいほどの緋色に変わっていた。まるで死人の血を思わせるような凶々(まがまが)しいほどの紅。この花の色を、いつだったか泉水は眼にしたことがある。
その人もまた、雪の花びらをその身に浴びて佇んでいる。あの面の下には、どんな素顔が隠されているというのだろう。見たい、見てみたい。その想いに突き動かされ、泉水が手を伸ばそうとした拍子に、周囲の風景が暗転した。
穏やかに降っていた雪は荒れ狂う吹雪となり、桜の花が毒々しいほどの緋色に変わっていた。まるで死人の血を思わせるような凶々(まがまが)しいほどの紅。この花の色を、いつだったか泉水は眼にしたことがある。