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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
「私は兄に似ていますか?」
 その手が泉水の袴の紐にかかった。
 泉水は固く眼を閉じた。不思議なことに、抵抗しようとは思わなかった。徳円を男として見ているわけでもなく、ましてや、惚れているわけでもないのに、抗う気にはなれなかった。
 と、徳円の身体が離れた。
 泉水が恐る恐る眼を開くと、背中を向けて立つ徳円の姿がある。
「哀れむのはお止しなさい」
 徳円がポツリと呟いた。
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