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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
 泉水は今回の事件のすべてを、泰雅にだけは打ち明けた。良人である泰雅には、隠し事は一切したくなかったからだ。泰雅は泉水の話に黙って耳を傾けていたけれど、流石に祐次郎に双子の弟がいたことには愕いたようだった。
「世の中は全っく判らねえもんだな」
 溜息混じりにそう言っていた。
 ただ、泰雅にも話さなかったことはある。
 雨に降り込められた御堂の中で徳円と交わした一瞬の口づけ、それに徳円が別れ際に囁いた言葉。
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