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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第17章 《巻の参―幻(げん)花(か)―》
 その二つに関してだけは、いかにしても泰雅には伝えられなかった。
―たった一つだけ思いどおりにはいかなかったことがあります。それは、私があなたを愛してしまったことです。
 あの時、確かに徳円はそう言った。それは、やはり泰雅に伝えるべき話ではないだろう。
「ごめんなさい。また、心配かけてしまって。やっぱり、お怒りでございますよね?」
 思わず眼だけで問うと、泰雅も眼だけで温かな微笑を返した。それが、良人なりの精一杯の応えなのだと、泉水は受け止めた。
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