この作品は18歳未満閲覧禁止です
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
使者に伴われて江戸入りした道安は早速、登城し、将軍の診察に当たった。しばらく丁寧に診察していた道安は控えの間に下がると、難しい顔で老中に告げた。
―正直申し上げて、ご本復は難しうございます。ここひと月ほどが山となりましょう。その間にお目覚めになられぬ場合、そのままお亡くなりになられるということも考えられます。また、万に一つ、お生命を長らえても、以前のようにご公務に復帰なさるのは、まず無理にございます。